増山たづ子と東北の記録者たち展

2016.05.24(火)〜2016.06.19(日) 11:00〜19:00(月曜休廊・最終日は17:00まで)

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増山たづ子と東北の記録者たち

本展は2013年にIZU PHOTO MUSEUMで開催された展覧会「増山たづ子 すべて写真になる日まで」を再構成し、東北の記録者による写真や資料とあわせて紹介するものです。
ダム建設により故郷が奪われていくかたわらで村の姿を記録し続けた増山に、震災により失われた土地の文化や故郷の記録に向き合い続けている東北の記録者たちが応答します。


展覧会参加者
増山たづ子、小野和子、小岩 勉、佐藤正実、高橋親夫、阿部裕美、小森はるか、瀬尾夏美


増山たづ子は、生地である岐阜県徳山村で農業や民宿を営みながら暮らしていました。
しかし、1957年、同地にダム計画が持ち上がり、1977年に本格化したことを受け、「カメラばあちゃん」として村の写真を29年間にわたり撮り続けました。
在りし日の徳山村を伝えるこの写真と増山により記された言葉の数々は、高度経済成長の影で奪われていったものに光をあて、私たちの前にもう一度差し出してくれます。
それらは震災以前から既にあった東北という土地がかかえる課題をも照らしています。
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増山たづ子
1917年岐阜県徳山村(現・揖斐川町)戸入生まれ。1957年に徳山ダム計画が立ち上がり、1973年にその基本計画が決定。この頃から村の生活音などの録音を始める。1977年に徳山ダム計画が本格化し、ピッカリコニカで写真を撮り始める。年金のほとんどを写真につぎ込みながら1987年の廃村後も通い、2006年に88歳でなくなるまで消えゆく故郷をとり続け、あとには約10万カットのネガと600冊のアルバムが残された。1984年にエイボン功績賞、2014年に第30回東川賞飛彈野数右衛門賞を受賞。


本展は二つの部屋からなる展覧会です。

一部屋目では、2013年にIZU PHOTO MUSEUMで開催された展覧会「すべて写真になる日まで」を同館研究員の小原真史が再構成し展示します。

また、二部屋目では震災で失われた土地の文化や故郷を記録し続ける東北の記録者たちの活動を紹介します。現在も進行中の彼/彼女らの記録活動を、増山たづ子の展示に併置することで、増山の"奪われるものを記録する"という態度をよりアクチュアルに受け取る場にしたいと思います。

小野和子
1934年岐阜県飛騨高山生まれ。1958年より宮城県仙台市在住。民話採訪者。1970年から宮城県を中心に東北地方の民話採訪活動、民話集の編集・編纂に従事。1975年に「みやぎ民話の会」を設立し現在は同会顧問。みやぎ民話の会叢書第1集から第14集まで監修。2011年からせんだいメディアテークと協働で「民話 声の図書室」プロジェクトを立ち上げ、民話の記録を広く市民の共有財産とするため活動中。
小岩 勉
1962年岩手県生まれ。写真家。労働運動などを撮影後、原発のある女川を長期取材。また、街と生活を写真で記録・出版するワークショップを、本吉町(現、気仙沼市)で11年、仙台で5年続ける。写真集に『女川海物語』、『野守の鏡』など。現在、細倉鉱山の写真を撮り続けた、寺崎英子写真集の刊行を準備中。
佐藤正実
1964年仙台生まれ。NPO法人20世紀アーカイブ仙台 副理事長。大正・昭和の先人たちが残した写真・絵葉書・古地図などの地域資料を収集・保存する。東日本大震災以後は市民が撮影した写真を募り、展示や記録集発刊、語る場づくりなどアーカイブの利活用を企画。2013年より仙台市と協働で沿岸部ツアーを行う。
高橋親夫
1947年仙台市生まれ。1級建築士。1984年から20年間にわたり、仙台市内や宮城県内の沿岸部を巡って地域の記録写真約1万枚を撮影し、2008年に仙台市博物館に寄贈。震災を経た現在でも撮影を続けている。2015年に京都造形芸術大学写真コース卒業。写真集『あの日につづく時間 2011.3.11』を冬青社より刊行。
阿部裕美
1967年陸前高田市高田町生まれ。震災前は夫とともに和食「味彩」を営業。震災後は陸前高田災害FMパーソナリティとして活動。地元に寄り添った丁寧な取材と言葉選びで多数の人気番組を生み出し、地元だけでなく、全国の人びとと交流を深める。現在は災害公営住宅にて、社会福祉協議会のコミュニティ支援員として働いている。
小森はるか
1989年静岡県生まれ。映像作家。東京芸術大学大学院美術学部先端芸術表現科修了。土地に暮らす人々の記録から映画・映像作品を制作している。2012年より、瀬尾夏美とともに岩手県陸前高田市に拠点を移す。2015年仙台市で、土地との協同を通して記録活動を行う一般社団法人NOOKを立ち上げる。
瀬尾夏美
1988年東京都生まれ。画家、作家。土地の人びとのことばと風景の記録を考えながら、文章や絵をつくっている。2012年より映像作家の小森はるかとともに岩手県陸前高田市に拠点を移す。地元写真館に勤務しながら、制作を続ける。2015年仙台市で、土地との協同を通した記録活動を行う一般社団法人NOOKを立ち上げる。


《関連企画》
※関連企画の参加費は500円です。先着20名。

☆5月24日(火)19:00-20:30
トーク1 遺志を継ぎ語る 残された記録から浮かびあがる村の姿
小原真史(IZU PHOTO MUSEUM研究員)× 野部博子(増山たづ子の遺志を継ぐ館)

                                  
☆6月5日(日)13:00-15:00
朗読会 「二重のまち」を読む
阿部裕美(元陸前高田災害FMパーソナリティ)× 瀬尾夏美(画家・作家)× 小森はるか(映像作家)

 
☆6月10日(金)19:00-20:30 
トーク2 地域を撮り続け、地域で活かすこと
高橋親夫(地域の写真家)× 佐藤正実(NPO法人20世紀アーカイブ仙台)

☆6月11日(土)13:00-14:30 
トーク3 「記録」はいつはじまり、いつ終わるのか 
小岩勉(写真家)× 工藤隆太郎(写真家)

☆6月18日(土)16:30-18:00 
トーク4 物語を生きるー震災後の東北から
小野和子(民話採訪者)×赤坂憲雄(民俗学者)

《トークゲストプロフィール》

小原真史(こはらまさし)
1978年愛知県生まれ。IZU PHOTO MUSEUM研究員・映像作家。2005年「中平卓馬試論」で第10回重森弘淹写真評論賞受賞。監督作品に『カメラになった男──写真家 中平卓馬』(2003年)、著書に『富士幻景―近代日本と富士の病』、共著に『時の宙づり―生・写真・死』『戦争と平和――〈報道写真〉が伝えたかった日本』ほか。IZU PHOTO MUSEUMでは「荒木経惟写真集展 アラーキー」、「宮崎学 自然の鉛筆」展、「増山たづ子 すべて写真になる日まで」展、「戦争と平和――伝えたかった日本」展などを担当。

野部博子(のべひろこ)
岐阜県に生まれる。大学講師、子どもの文化学びの舎主宰。増山たづ子の遺志をつぐ館代表。ダムに水没する岐阜県揖斐川町旧徳山村の、伝承文化についての、調査研究に携わる。村で語り部増山だづ子に出会い、以降、2006年に亡くなるまで交流を深める。没後は氏の写真アルバム等を引き継ぎ、整理する傍ら各地で写真展を開催。「写団 望」代表。地域の写真展の審査員も務める。

工藤隆太郎(くどうりゅうたろう)
1987年秋田県大館市生まれ。東北学院大学、日本写真芸術専門学校卒業。出版社専属カメラマンを経て独立。現在、東京でフリーランスカメラマンとして働く傍ら、地元である秋田に通い撮影を続けている。作品掲載:雑誌「世界」(岩波書店2015年11月号)。

赤坂憲雄(あかさかのりお) 
1953年、東京生まれ。東京大学文学部卒業。福島県立博物館長。学習院大学教授。民俗学、日本思想史を専攻。著書は、『岡本太郎の見た日本』(岩波書店)、『東北学/忘れられた東北』(講談社学術文庫)ほか多数。


|お問い合わせ|tazuko.tohoku@gmail.com
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増山たづ子と東北の記録者たち展

11:00 - 19:00 (月曜定休)
〒980-0012宮城県仙台市青葉区錦町1-12-7門脇ビル1F
TEL&FAX 022-222-0654 

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